秘曲笑倣江湖を読み終える

秘曲 笑傲江湖〈第7巻〉鴛鴦の譜

秘曲 笑傲江湖〈第7巻〉鴛鴦の譜

ああ全7巻をついに読み終えてしまった・・・。
本書は英雄好漢達が武術によって覇を競う架空の世界「江湖」を舞台に繰り広げられる一大活劇。一人助けるごとに魂のバランスをとるために一人殺すという殺人医師や最強剣法を極めるためにあっと驚く秘密を抱える剣法の達人など次から次へと惜しげもなく登場する個性的なキャラクター。まさかという主要キャラの変貌振り。義侠心により様々な奇縁と仲間に恵まれる主人公が怒涛のようなピンチを次から次へと切り抜けながら強くなっていくカタルシス。など、一度手に取ると止まらない。本当に止まらない。途中まで話の展開がどう転ぶか全くわからず、全7巻のうち6巻途中あたりでようやく起承転結の承が終わるかなといったところ。偉い作家の誰かが批評していたが、もうどこまで風呂敷を広げるつもりなのかと。
全7巻休むことなく本当に夢中になって読みきってしまった。近年こんなに夢中になって読んだ本は無かった。先が気になりつつも次第に読み終えていくことがさびしくなり、読破した後は読みきった充実感と先の楽しみが無くなってしまった喪失感とが混ざり合うなんとも複雑な気持ちになったものだ。作者金庸のあとがきを見れば当時の中国の世相の影響が作品にも表れているということを書いているが、そんなキナ臭いものは少しも感じられず、純粋な娯楽として本当に楽しめた作品だった。久々に至福の読書体験をしたなあ。これを機に他の金庸作品も読んでみよう。

☆5つ