北斎・写楽・歌麿−ギメ東洋美術館所蔵浮世絵名品展

DEka2007-04-29


大阪市立美術館にて

http://osaka-art.info-museum.net/special018/special_guimet..html

障壁画の類と比べればモノの一つ一つが小さいため、展示スペースはさほど広くは無かったが、展示点数は申し分なく、十分すぎるほどの見応えがあった。ぱっと見では絵の一つ一つがポップなカラフルさにあふれているし、じっと注意を払って見ると当時流行っていた文化や風俗、衣服のディテールなどが垣間見える。尾上松助(江戸中期の歌舞伎俳優)は鼻がでかかったなども見て取れたりしてとても面白い。切手ファンにはおなじみの月に雁も変な意味で感慨深いものがあった・・・。

ハイライトは大々的に宣伝されている北斎竜虎の軸だろう。凶暴さの中に愛嬌を秘めた虎と睨み合わせるような龍は圧倒される。特に龍の体から溢れる禍禍しい瘴気が黒墨と深い藍色で表現され、見ていてゾクゾクとしてくるのである。

浮世絵は今でいうグラビアのようなもので、当時はサブカル的な扱いだったが、海外において芸術性が高く評価され、コレクター達が競って買い漁った。そのため現在高い評価を受ける名画の多くは国外に流出したままである。そして、江戸の世に名を馳せた絵師達の中でもキラ星の如く光る北斎写楽歌麿の名画が国内で一堂に会し、堂々展示される機会は滅多に無いと言える。少しでも興味のある人は必ず見ておいた方がいい。