新進亭＠京都

久々に新進亭で白味噌ラーメンを食う。やはりうまいなあ。

誰にでも思い入れのある店の一つや二つあるだろう。俺にとってはこの店がそうだ。最初の出会いはラーメン食べ歩きを始めてまもない学生の頃。およそ10年ほど昔である。当時はといえばネットなんてオツなもんなどもちろん無く、金龍や神座が堂々横綱を張るようなそんな時代。ぴあ辺りの出していたベタなラーメン本片手に昼飯時にわざわざチャリンコで学校を抜け出して店を回ったものだった。新進亭のうわさを聞いたのはそんな折である。

新進亭はうまい、と、当時所属していたサークルの何人かが口をそろえて言う。聞けば白味噌ラーメンなるちょっと変わったメニューを出しているのだとか。当時既に京都一との呼び声も高かった天天有とも真っ向タメを張る旨さだともいう。これは食わねばなるまい。昼から夕方への通し営業なので、学校を抜け出して食うにはちょうどよい営業時間でもある。かくして俺はある夏の暑い日の午後、チャリをこいで二条麩屋町へと向かった。

二条麩屋町というところはロケーションとしてはちょっと微妙である。卸業者や伝統工芸の店、八百屋や民家などが軒を連ね、およそ統一性の無い下町の雑多な感じがする。人が多いわけでもにぎやかでもない。そんな只中において、新進亭の店内はすごく賑わってた。皆旨そうに白味噌を食っている。俺も白味噌を頼んだ。

実は普段俺は味噌ラーメンを頼むことが少ない。やや辛味の有るのどに引っかかるようなあの味噌ラーメン独特の味噌の味があまり好みではないのだ。しかし新進亭の白味噌ラーメンは違った。スープがほんのりと甘くやさしい。やや柔目の麺もスープとよく絡む。もやしや肉がこぼれんばかりに山と盛られたド迫力のボリュームもオールタイムで飢えていた学生には非常に嬉しかった。抜群の味が巨大なボリュームを以って襲い掛かってきて、俺は見事にねじ伏せられた。食後幸せな満腹感と満足感でいっぱいになったのだ。かくして俺は皮肉にも苦手としていた味噌ラーメンというジャンルの中に、個人的一番店を見出すこととなってしまったのである。

以下長いので続く